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存在というものは人にとっては大きいもので決して決して消そうとしてはいけないことなのだと気が付いた時には既に空いた穴は大きくて大きくて








心に決めたのは秋だった。
絶対に良くない、そう思った。

「もう肌寒いね。」

いつもの空き地。
地面に生える草はもう枯れ始めている。
隅に生える木々の葉も紅葉。

「もうすぐ冬かぁ。」
「雪楽しみだねー。」

この月が過ぎて、更にもう一つ過ぎればそこにはもうクリスマス。
今年は何をあげよう?

「冬が過ぎたら梅の季節かー。」

また随分と気の早い話をするのね。

「お前、梅の花好きだろう?」

儚い桜よりかはずっとね。



薄い桃色の桜は、とても儚い印象を受ける。
其れ故惹かれる人は多いのだろうけれど。



「ねぇね、来年の梅の花は一緒に見よう?」



私の思いとは裏腹に、口を吐いて出たのはこんな台詞。
決して本音ではないのに、彼は微笑んでこういった。


「あぁ、丁度俺の誕生日の時期でもあるしな。」

-楽しみにしてるよ。




そんな彼の言葉は、どんな罵倒よりも私の胸を抉った。




―予想通り、彼と梅の花を眺めることは無かった。
一人になった、春。
周りが色づき始めたのに、私の視界はモノクロ。




あの冬の淡い色づきが、恋しい。




彼と別れてから一年。
同時に違う人の隣に慣れて、一年。
また同じ季節が巡る。

「去年見れなかった桜、今年は二人で見れるね。」

違う人が、また私に微笑んで言葉を紡ぐ。

「うん。…桜、好きだもんね。」

この地域の桜は私の地元よりも色が薄い。
種類が違うのだろうか。
薄いピンクというよりも、殆んど白に近い。
…それでも、私は梅の花の、あの濃いピンクが好きだ。
でも、私はそんなことは言わない。


「ホワイトクリスマスは叶ったし、次は花見だな。」


嬉しそうに笑う彼の姿が、去年のこの時期と重なる。




耐え切れなくなったのは私のほうだった。
桜が咲く前の時期に、別れを告げた。
その時にした決意は、

『もう彼氏は作らない。』


陳腐ではあるだろうけれど、それでもこの決意は固かった。

しばらく一人で動きたかった。
自分のしたいと感じることに向き合って、その上でいろんなことをしていこうと想った。
「うん、出来る。」
そう信じることで、昔の脆い強さを取り戻したかったのかもしれない。




一人になって二月。
過ぎる時間は穏やか過ぎて、のろのろと自分のしたいことを進めていくだけの日々は、少し暇だった。

新しいことを始めて、一月。
所詮飽き性の私は退屈を感じ始める。

眺めていた景色の所為だと感じて、やはり春をうらんだ。
生めの時期が過ぎれば、すぐに春が来る。
別れも出会いも皆春だった。
退屈で仕方ない、春。
それで居て絶対的な変化をもたらす、春。


あの淡い梅色の冬が恋しい。


あと一年もある冬に想いをはせる。








気がつけば、思い起こすのは彼のことばかり。
久しぶりに会った彼の姿を追い求めている自分に、絶望した。

嗚呼、あの決断は間違っていたのかも。
そんなことすら思い始める。





色づきが緑に近づき、気温も上がるころ。
気分転換にとした部屋の掃除。
見つけた昔の手紙。

あぁ、彼からの手紙だ。

懐かしくなって、思わず開く。
ふと広がる、独特の封筒と糊のにおい。

あぁ、若かったなぁ。

彼の一つひとつの愛の言葉に微笑みすら浮かぶ。
そしてふと、想う。



次に起こした行動は、本当に突発的なもので。




読んだ手紙を、丁寧にしまった後、手元にあったライターで火をつけた。
そして、掃除の合間に出てきた、昔貰った元と一緒にゴミ袋へ入れる。
ぬいぐるみ、ペンダント、ゆびわ、一緒にとった写真。
次々手にしてゴミ袋へ入れていく、入れていく。
その経緯はあっという間に終わるものであったはずなのに、私はどんな運動をした後よりも、気分が弾んで気持ちよかった。
軽く息切れをする位の高揚感。


あぁ、そうだ。この後外に散歩に行こう。
行き先は、よく彼と言った公園。

掃除が終わる頃には日が暮れて、きっと綺麗に橙色に染まっているはず。



早々に、ゴミを纏めて散らかった部屋の家具を定位置に戻す。



そういえば、明日は不燃物の日だ。
そう想っても、別に気分は晴れ晴れとしたままだった。




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ほら、なんだかんだでもう全部思い出なんだよ。
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自己
名:
蒼月 氷牙(アオツキ ヒョウガ)
ROでは朋藍(ホウラン)です
標準では氷牙使ってる
年:
35
性:
女性
誕:
1988/10/06
基本的にO型の大雑把。
社交的らしいけど、チキンなのでそんなこと無いです。(痛)ていうかネガティブの自暴自棄。ww

時々趣味による短文小説ならぬ駄文と詩が書かれるかと思いますのでお気をつけ下さい。


ねりま猫 40頭のSOS!

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