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風で、緩くぶら下げ留められた重い格子が揺れる。
格子同士がぶつかりあい、独特の音色を奏でる。
この音を聞けば赤子は泣き、
力なきものは怯えるのだろう。
微かな風、
微かな音、
それでも人は、
人外のものが奏でる音に怯える。

しかし、其れでいいのだ。
其れが普通であり、其れが平和なのだ。
明日の生が約束されていようと居まいと、
寝露をしのげる場があろうとなかろうと、
少しでも



としての感性と本能をもってしていれば、怯えて当たり前なのだ。




重い、重い、音が、
石と格子で造られた部屋に響いた。
其のときの心持を、上手く表現できない自分にほんの少しだけ哀しさを見た。




「Rai(レイ)、」



足元に、自身の影が伸びた。
開け放たれた背後の重い鉄扉には、聞きなれた声の男が居る。
しかし、そのままの姿勢は崩さない。
どうせ振り向いたところで、相手の顔は見えない。
今は外の明かりが、此方にむいている。


また、風で格子が鳴った。

それと同時か否か、踵(かかと)の辺りに紙の掠れる音と、鉛と似た鈍音がした。


「次、だ。」


聞きなれた声は、これまた聞きなれた言葉を放つ。
それでも、振り返らない。


顔が 、 見えない 。


理由はそれだけではないのだ。







「我々の忠誠は 国に。」

聞き覚えのある声が
又更に聞き知った言葉を吐いた。


「王は国だ。」

「国は民だ。」

「民は人だ。」

「人は…力もなく、弱く、愚かだ。」

「それにも気がつけぬほど、脆く、愚かだ。」


声は淡々と続ける。

「故に、消さねばならぬ、「影」もある。
「闇」もある。」

「我々は
それを
消すための 存在だ。」


淡々と続けられる言葉に、一切の反応を示さない自分に対して、
相手は少し苛立ちを持ったのだろうか。



「ZEROー零ー(0:ゼロ)の意味を、忘れるな。」 



そう、言い放った。



この部屋は自分にとって仕事部屋だ。
もとい、仕事のための『準備部屋』だ。
故に人目につかぬところに作られ、
では入り口も人目につかない。
城には近いが、それでも低い位置に作られている。

壁には格子が張り巡らされ、
天井に歩かないか分からない程度の小窓には、
意味があるのかないのか分からない格子がぶら下げて留められている。


「惜しい、とは思う。
しかし、これからの現王が作る国にとって、
お前の存在は、」


指にはめた、
鉄具で格子を叩く。


――『了解』


の意を込めて。


それを聞いた声の主は、そのまま何も言わずに鉄扉を閉めた。




犠牲者は、俺一人で、充分なのだ。
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自己
名:
蒼月 氷牙(アオツキ ヒョウガ)
ROでは朋藍(ホウラン)です
標準では氷牙使ってる
年:
35
性:
女性
誕:
1988/10/06
基本的にO型の大雑把。
社交的らしいけど、チキンなのでそんなこと無いです。(痛)ていうかネガティブの自暴自棄。ww

時々趣味による短文小説ならぬ駄文と詩が書かれるかと思いますのでお気をつけ下さい。


ねりま猫 40頭のSOS!

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